下手に手を出して心配事を増やした話
事務所の隣にさびれた保健センターがある。普段このセンターは使われることなく無人の時が多い。
敷地の境界線に高さ170センチくらいの松があって植えられてからおそらく一度も手入れされていないようなので勝手に剪定してみることにした。
この時期になると街中に植えられてる松の花粉が一斉に飛び散る。どこそこでまっ黄色になる。初めて見たときは黄砂かと思っていた(笑)
窓もうかうか開けていられない。車はもちろん黄色い粉を全体に纏うことになる。
さて剪定開始。もっこりしてんなーって印象。まず切り始める前に松に挨拶をする。いきなり切られると植物もびっくりするみたい。
挨拶なしに切ると植物がびっくりして反撃を食らうことがある。(・・・と私はそう勝手に思っている)そうやって何度か枝で目を突いたり、木から滑って落ちそうになったりしたことがあった。要はビビりなので一声かけておきたい。
私にきれいに整えさせてねー。
新芽を摘んで混みあってる枝をすく。音楽を聴きながらどんどん風通しの悪いところをカットしていく。あぁ、楽しい・・・。
時々、奇跡のリンゴを作っている人のまねをする。どうしてほしいかリンゴに聞くと教えてくれるっていってたな。。。
「ねぇ、まっつん。どこを涼しくしたい?」
「えっとね・・・右側。もうちょっと右!」
無駄に腹話術のスキルが上がるw
松の剪定を通して自分の中心にいると実感する。
気持ちの良い風と音楽が気分を良くしてくれる。
・・・と不意に背後に気配を感じる。
おじさん。。。いつからそこにいたんだよ。私の腹話術ずっと聞いてたんかよ・・・
近づいてくるおじさん。
「剪定の勉強してるの? 方法知ってるの?」
「勉強中ではありませんが方法はちょっと知っています。」と返す私。
”ちょっと”っと付け足すところがなんとも私らしい。胸を張って、知ってます!っていう自信は持ち合わせていない。
切り終わった部分の枝を触って、「はぁ~ん」って言うおじさん。
ご苦労様~とその場を後にしていった。
はぁ~んってなんだよ。。。
その表情と声の感じ。小馬鹿にされたような気がしてイライラし始めた。
おじさんが次に来た時にあいつやるじゃんって思わせてやる!って切り終えた箇所も切り直し始める。
・・・とその後、松の葉で目を突く。痛い。っぎゃ!ってなる。
思いっきり中心から弾き飛ばされて、まっつんのためのじゃなくなっていた。
所々、切りすぎていてぽっかり空間が開いてしまった。ごめんよ・・・
その夜の夢はまっつんの葉が枯れていくという夢を見た。。。
まっつんを見るたびに枯れるんじゃないかとびくびくしている。